障害と社会の接点を増やす

白石真寿美(19新卒)

Masumi Shiraishi

・出身大学 上智大学大学院総合人間科学研究科社会福祉学専攻
・好きな言葉「Where there is a will, there is a way.」
・趣味「舞台鑑賞、ハーバリウム作り、おいしいものを食べること」
・ニックネーム ばいしー、まっすー、しらいし

障害を知ってもらう

「ポスターモデルやりませんか?」。イベントで知り合ったNPOのメンバーから突然ポスターモデルに誘われたことをきっかけに、NPOの学生インターンとして活動していました。そこでは、障害や難病を持つ人たちをモデルにしたポスターの製作や、障害を気軽に体験できるツールを開発しワークショップを行うなど、障害や難病を持つ人について知ってもらう取り組みをしていました。障害当事者を前面に出し、「気軽に、ポップに」知ってもらおうとするこの取り組みに、大学で社会福祉を学びながらも「“支援を受ける”受け身な障害当事者像」に違和感を持っていた私は、強く引き込まれていきました。
活動に関わり始めた当初、障害を持って生活してきた経験が多い私は、障害体験ツールの開発に関わる中で、障害をもって生活することの不自由さを強調することが多くありました。しかし、企画にかかわりながら、障害の不便さを理解してもらうことではなく、体験する楽しさを通じて障害を理解しようとするきっかけを提供し、障害のない人達自身が障害をもつ人たちとコミュニケーションを図る術を考えてもらうことのほうが遥かに有効であることに気づきました。この出来事から、障害をもつ本人としての視点ではなく、障害のない人の視点も自然に考える癖がつきました。同時に、「障害理解」というありふれた言葉の難しさも感じました。2つの視点を持てるようになったことは今後にも活かせるのではないかと思っています。

参加したポスター。数字は上肢障害者の割合を表している。

「知らない」が生み出すもの

ここまで読み進めてくださった方は薄々お気づきかもしれませんが、私は生まれつき両上肢に障害をもっています。左腕は肩からなく、右腕は大人の半分くらいの長さで、カニのハサミのような手をしています。しかし、私はこんなに「派手な(見た目で分かる)」障害をもっているにもかかわらず、幼い頃は自分を「障害者」だと思ったことがありませんでした。もちろん、腕がないことはわかっていましたが、それ以外はよその子どもと全く変わらないと考えていたからです。それは、家族や友人が障害について障害のない子とおなじように接してくれたことが大きかったのではないかと思います。
そのような環境で育ち、大学生になったある日、あるドキュメンタリー番組を観ました。出生前診断を受けた妊婦さんとその家族、そして産婦人科医の物語です。赤ちゃんに障害が出る確率が高いと診断を受けた妊婦さんは、産むか産まないか悩んでいました。1人の命が懸かっているのですから当たり前のことです。しかし、診察の場面では、障害のある子どもの成長のこと、生活のことは伝えられず、医師から伝えられる情報は限定されているように見えました。障害をもつ子のリアルな姿を見ないまま決断を下していくその姿に違和感を覚えました。「妊婦さんは、障害をもつ子どもの情報をきちんと得られているのだろうか?情報を得た上でちゃんと判断しているのだろうか?」と。
その後、診断を受けた妊婦さんは9割近くが中絶しているとの報道が盛んになり、「障害=排除されるべき」というレッテルがますます強められていると感じるようになりました。障害のある人のことを知らないことが、限定されたイメージを作り出しているように思えたのです。知らない、を少なくしたいと考えた時、「障害のある人のことを妊娠のもっと前から知ってもらう機会を作れないだろうか」と考えるようになりました。

障害という概念を知らなかった幼少期

GPへの入社理由

私がGPへ入社した理由は、ずばり「知らないから生じる障害をもつ人への差別と偏見を解消する」という理念に強く共感し、惹かれたからです。
障害をもつ人のことを知ってもらいたい。どんな手段でやっていくかなんてアイデアも全くありませんでしたが、出生前診断のドキュメンタリー番組を観たあの時からこの課題を仕事として取り組んでいきたいと考えていました。しかし、就職活動を行う中で様々な企業を見てもしっくりくるところが見つかりませんでした。そんな時にGPを知り、会社として目指すところや障害をもつ人への考え方が、まさに私が考えていた方向性とぴったり重なっていて、感じていた課題に取り組むことができると思いました。また、面接やオフィス見学で様々な社員の方と会話を交わす中で、問題意識に対する熱いハートと個性を尊重する社内風土が感じられ、ここなら自分の問題意識に取り組むことができると確信しました。
余談ですが、面接の際にある社員さんから「障害をもつ白石さんが、法人営業に行ったら説得力があっていいかもね」と言っていただきました。障害は、会社の風土や個人の考え方によってはマイナスに捉えられる時もありますが、GPはそんな障害も強みとして活かしてくれる文化があるように感じられました。そんな言葉からも、ますますGPに面白さを覚えるようになりました。

GPで実現したいこと

GPで実現したいことは2つあります。
1つは、障害がある人とない人の接点を今以上に増やすこと。今までは自らの当事者としての経験から当事者視点で物事を見ることがほとんどでした。しかし今後、障害をもつ人に加え障害のない人とのかかわりもより増えてくるでしょう。その時に両者の懸け橋になれるような人材でありたいと考えています。そして両者を引き合わせて接点を創り出していきたいです。
もう一つは、今まで持っていた問題意識である出生前診断を受けた妊婦さんとその家族に、障害を持つ子どもに関する情報を提供するツールやプラットフォームを創り出すことです。これから技術が進歩することで、出生前診断を受けて葛藤する人が増えると思います。その時に、障害のある子の成長がリアリティをもって知り、情報を得られる環境づくりにいつか取り組めたらと考えています。

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