生きづらさを
働き方から変えていく

菅ノ澤寧音(24新卒)

Suganosawa Nene

・出身大学 茨城大学 人文社会科学部現代社会学科
・好きな言葉「悩みは向上心の裏がえし」
・趣味「絵を描くこと、物語をつくること」
・ニックネーム「すがさん」

社会がもたらす生きづらさを考える

大学では、社会学を学ぶゼミに所属していました。ゼミ生同士で何時間も研究について議論したり、600ページの文献を皆で読んだり……3年生から4年生の間は、大学生活のほとんどをゼミの研究に費やしていました。大変なことばかりでしたが、学問に真剣に向き合った2年間から得たものは、自分を大きく成長させたと実感しています。
社会学と聞くと、「社会」という幅広い対象がテーマになると思われがちです。しかし、身近な問題を対象にしている研究も多く存在します。例えば、シングルマザーが貧困に陥りやすいのは、本人の努力が足りないからではありません。男女の雇用格差・子育て制度の不十分さ・支援体制の不足……など、背景に様々な社会的要因が存在します。こうした研究を例に、「当たり前」がどのように生み出されているのかを考え、疑う姿勢を養いました。
ゼミでの学びを踏まえて社会を見たとき、私たちは思っているよりも多くの「当たり前」にとらわれ、苦しめられているのではないかと気づきました。私たちが抱えている生きづらさは、必ずしも当人が原因で生じたものではありません。社会構造によって、どうしようもない状況に立たされている人がいます。それにもかかわらず、生きづらいのは本人の努力が足りないせいだとする風潮に違和感を覚え、どうにかしたいと考えるようになりました。

写真:卒業論文の発表会の様子卒業論文の発表会の様子

生きづらいのは誰かのせいじゃない

アルバイトの一環として、大学のピアサポーターをしていました。聴覚に障害のある学生と一緒に講義に参加し、先生の話す内容を文字に起こし、字幕をつける作業をしていました。ほかにも、学生向けの相談室の相談員として、学生の悩み相談に乗っていました。コロナの影響もあり、新しく相談に来る人はなかなか増えなかったのですが、ピアサポーターと障害のある学生が話す憩いの場となっていて、とても居心地の良い場所でした。
こうしたピアサポーターの活動のなかで、アクセシビリティリーダー2級の資格を取得しました。そこで学んだ「アクセシビリティ」という概念が、今でも考え方の軸になっています。
アクセシビリティとは、情報へのアクセスのしやすさを意味します。例えば、聴覚障害の有無に関わらず、騒がしい駅の構内ではアナウンスが伝わりづらくなります。入り口が階段しかない施設では、車椅子の人、足を怪我した人、ベビーカーを使っている人など、様々な人が不便を感じます。こうした状況では、アクセシビリティが担保されていない、ということになります。つまり、情報へのアクセスのしづらさは、個人ではなく環境に起因するのです。
ピアサポーターとしての活動、そしてアクセシビリティという概念を学んだことで、生きづらさは当人のせいではなく、環境から、社会から変えていけると考えるようになりました。

写真:アクセシビリティリーダーの証明書アクセシビリティリーダーの証明書

GPへの入社理由

はじめは、就職活動そのものに違和感を感じていました。ぜんぜん似合っていないリクルートスーツ、足にあわないパンプス、就活メイク、 ES指導……「就活」という名の下に、様々な常識を押しつけられている気分でした。もちろん、スーツを着ることが必要な場面もありますし、 相手に伝わりやすいESを書く必要性は分かります。否定したいわけではありません。しかし、これからの人生のうち、大半の時間を占める 「仕事」という選択をするのだから、もっと自然体で、自分の想いを素直に話せるような就職活動があっても良いのではないか?と疑問を抱きました。
働き始めてからも、自分にあった生き方ができるとは限りません。社会人の友人たちからは、「好きなことをする時間がない」「残業が当たり前になっていて苦しい」という話も聞きました。そのうちの何人かは、仕事が原因で心身の調子を崩してしまいました。「仕事ができない自分に、価値はない」と、自分を責める姿を見て、仕事って、何のためにあるんだろう?と考えるようになりました。
人の数だけ、会社も、仕事も、たくさんあるはずです。様々な人に合わせて、多様な働き方があってもいいのではないでしょうか。私の友人たちは、好きなことに全力で取り組んで、思いっきり笑える人たちです。そんな人たちが、自分を責めることなく、自分にあった仕事や働き方を選択できる社会、誰もが自分らしい生き方ができる社会になるといいなと思うようになりました。
こうした想いを素直に話せたのがGPでした。面接・面談で出会った人の誰もが、過度に謙遜することなく、自然体でそれぞれの想いを語ってくれたのが印象的でした。この人たちとなら、もっと生きやすい社会を実現できると考え、入社を決めました。

GPで実現したいこと

障害者雇用の基盤を整えた先で、障害のグレーゾーンと呼ばれる方々のサポートをしたいと考えています。
障害がある、と診断されなくても、仕事がうまくいかない人、それによって人生に絶望してしまう方は数多くいます。とくにグレーゾーンの方々は、障がいという名前がついていないからこそ、悩みを抱えていてもどこに相談していいかわからない、支援を受けられない、モデルケースを見つけにくい……といった、固有の悩みを抱えているのではないでしょうか。
現在、就労支援・相談機関の利用は、障害者手帳の有無等が基準になっています。そこで、障害者雇用の基盤を整えた先で、グレーゾーンの方々をはじめ、働き方に悩みを抱えている方々の相談機関を作りたいと考えています。
いまの日本社会は、生きづらさを「仕方のないこと」「本人の努力で改善すべきもの」とされる問題を抱えています。こうした問題は、障害者の方々だけではなく、多くの人を苦しめています。「障害者雇用」というフィールドから、グレーゾーンの人々へも支援を広げ、そしてすべての人が、今よりも働きやすいと思える社会をつくっていきたいです。

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